1999年 百里航空祭レポート

あって然るべき航空祭展示機の画像が無いのは問題...


Action−1 百里への遠い道のり

 9月26日、待ちに待った百里航空祭の開催日。ここ2年連続で百里航空祭に行けなかったので、今年こそはと一日千秋の思いでこの日が来るのを待っていた(だいぶ大げさ)。

 同僚I氏の情報では、雲量が多いようなので、
ブルー・インパルスの飛行区分が気になるところではありますが、とりあえず常磐道守谷SAで無事合流できたHさんとブルー・インパルスの使用機T−4と同じ川崎重工業製ZZ-Rの編隊飛行走行で百里を目指します(HさんはZZ-R1100、私はZZ-R400)。

 百里基地に車やバイクで行ったことがある方なら知っていると思いますが、東京都方面から百里基地までの道順は、常磐自動車道の千代田石岡ICから国道6号線、さらに小川町を通過する国道335号線というのが航空雑誌などで紹介されている代表的なルートで、私も今までこのルートで百里基地に行っていました。しかし、今回は百里基地初見参+重巡ZZ-R1100のHさんが一緒なので、渋滞している上にすり抜けが困難な一般道の走行をできるだけ避けるため、千代田石岡ICの一つ先の岩間ICで高速を下り、逆(水戸)方向から百里基地にアプローチすることにしました。

 このルートにしたもう一つの理由は、百里基地での駐車場のことがありました。バイク、自転車(それと招待者等の自動車)は、基地正門から管理棟前の緑地帯に設けられた臨時駐車場に入れてもらえるのだが、国道335号線からだと、滑走路を挟んで基地祭会場(エプロン地区)と反対側にある仮設駐車場に誘導されてしまい、会場まで
有料バスに乗るか20分近く延々歩くしかないのです。以前バイクで行った時にこの駐車場に入れられたので、今回はそれだけは避けようと考えたわけです。もっとも、その時は滑走路の延長工事をしていて、北門から基地正門に通じる道路が通行止めになっていたので基地正門には北門手前から迂回しなければ行けなかったんだけどね。今回はどうだったんでしょう?

 そんなわけで、常磐自動車道を走行中、千代田石岡IC手前の情報掲示板では「千代田石岡出口渋滞中」と出ていたにもかかわらず、本線上に出待ちの車両の列が全く無かったことを訝りながらも岩間ICに機首を巡らせます。

 しかし、岩間ICまで数百メートルの地点で、出待ちの車両が本線上まで延びているのを視認。素直に千代田石岡ICで下りた方が良かったかなと思いながら、車列に加わる。結局料金所通過まで30分くらいかかってしまう。料金所がこれだけ渋滞しているんだから百里基地への道はさぞかし渋滞していると思いきや、一般道に出てからは快調に走行。どうやら航空祭以外の理由で混んでいたようです。途中で路肩に駐車している浜松ナンバーの車をパスする。車内では男性二人が地図を見ていたので彼らも百里基地に行ったのでしょう。

 さすがに基地手前では大渋滞。基地までのあと1キロが進みません。そうこうしているうちに時計の針が9時を回り、F-15Jのオープニングフライトが始まりました。ほとんど進まないのを不幸中の幸いとエンジンまで止めてF-15Jの機動を見ていると、単純にタッチ&ゴーを繰り返しているだけのようです。まぁオープニングフライトだからこんなものかと思いながらようやく基地内へ。

 

Action−2 イーグルは飛んでいく

 無事、駐車場にバイクを入れエプロンに向かう。既にF-15J×2機による機動飛行が始まっており、F-15Jが水平旋回を切ってこちらにテールを見せる度に体にビリビリとエンジン音が伝わってきます。久しぶりに間近で体験するジェットの爆音に思わず鳥肌が立つ。機動飛行自体は見飽きた見慣れた急上昇と急旋回であったにしても...

 エプロン(地上展示エリア)に着いて、まずは駐機場に展示されている機体を順に見ていきます。さすがに未だに試験中のF-2支援戦闘機の姿はありません。
 航空機の他にも、地対空誘導弾「ペトリオット」(どうやら「パトリオット」とは発音しないらしい)やアメリカの野戦四駆”ハンマー”のパクリと陰口をたたかれる”高機動車”の民間モデル”メガ・クルーザー”のミリタリーバージョン(あーややこしい)である「場外救援車」(なんちゅーネーミング)などがずらりと並べられていて、対空機関砲(VADS)の体験搭乗もやっています。
 その他、ミサイルや偵察ポッド、私のお気に入りのチャフ・ポッドなどの航空機搭載火器類、格納庫内ではF-15Jのコクピット撮影やパイロットの装備品、エンジンの展示が行われています。

 UH-60Jの離陸に続いて501SQのRF-4ERF-4EJの離陸が始まる。ターボファンのF-15Jとは違ったターボジェットのエンジン音が会場一杯に広がります。うんうんやっぱりこれですよ。
百里と言えばファントムファントムと言えば百里。ファントムあっての百里基地です(くどい)。例え偵察機だろうとファントムファントムです。それにRF-4EJF-4EJの偵察機改修型ですからバルカン砲だって積んでいます。
 そうこうしているうちに、UH-60J通称”イエロー・ホーク”×2機による救難デモの始まりです。ループ(正宙ではないようだけど)まで軽々とこなしてしまう軽快と言うよりパワフルなデモフライトを披露。UH-60Jの周りではこれまた新鋭救難機のU-125Aが軽やかに飛び回る。さすがに「出」がビジネスジェットだけあってエンジン音は静かです。

<ちょっとだけ真面目な話>
 いわゆる「コンバット・レスキュー」を考えた時に、非武装のU-125AUH-60Jのコンビでは救難ポイントが敵の勢力圏内の場合、侵入(救難)できないのではないかと危惧するのであります。
 救難ヘリであろうと「敵は敵」です。やはりガンシップの援護が必要なのではないかと思います。大石英司氏の小説に出てくる「AC-130スペクター(ブルドック)」のような地上制圧機-ガンシップ-を空自は装備(配備)していませんし、この手の機種をこれから早急に調達することも困難でしょうから、陸自の攻撃ヘリAH-1Sか火器類を搭載した汎用ヘリUH-1と連携する必要が生じるのではないでしょうか。それとも救難要員の他に銃手(ガナー)が必要になりますが、イエローホーク自体に武装を施すということもありかも知れません。
 自衛隊は「専守防衛」だから他国への「侵攻作戦」などあり得ない。よって敵地に救難ヘリが飛ぶこともないので武装ヘリは不用・・・それはそれでいいとしても、逆に敵の侵攻を受け、国土の一部が占領された場合や今後PKOさらにはPKF任務で海外に展開した時に大いにあり得る話だと思うのです(特に後者は)。
</ちょっとだけ真面目な話し>


 お次はRF-4×6機による戦術偵察飛行です。自衛隊の航空祭では異例ともいえる低空で会場上空を航過して会場の「偵察」を実施します。以前はこの時に
フレアを射出しながら航過していたので今回も楽しみにしていたのですが今回は無かったのが残念です。私が行けなかった2年の間にやめてしまったのでしょうか?

 デモフライトの合間を見ながら、エプロンに並んだ売店をのぞきます。いつものことながらここで
金銭感覚が麻痺してしまいます。上限低いですけど(笑)それと確か会場に着いたときには出ていたブルー・インパルスの売店(「矢本商会」と言うらしいです)がありません。ブルーのメンバーが売り子をしているので、展示飛行のため早めの店じまいらしいです(ざねん、ざねん)
 今年買ったのは、RF部隊のTシャツ、セーフティ・ピンの先にぶらさがる[REMOVE BEFORE FLIGHT]と書かれた
赤いタグを模した携帯電話用ストラップ、204SQ名物ワルキューレのステッカー(出渕裕氏デザイン版)、百里基地ワイン(中身はマンズワイン)、とどめに「ファントム無頼キャップ」であります。
 しかし、冷静に考えると、携帯ストラップは他の基地祭でも買えるでしょうし、204SQのステッカーは以前新宿の”さくらやホビー館”でも売っていました。それと「ファントム無頼キャップ」はインテークベーンと尾翼に「例の
ダンダラ模様」が入っているだけでノーズナンバー”680”は書かれていません(アップ画像参照)おまけにLLサイズでも小さいという私の頭にLは入りません。でも買ってしまうんですよ。ちなみにHさんも買いました。お祭りの威力恐るべしです。
 後でもう一度204SQの売店に行ったときに「ワルキューレ」をデザインされたW空曹がいらっしゃいました。

  

 この時、上空ではF-15Jの模擬対地射爆撃が行われています。単機で会場上空に緩いダイブで突入してくるF-15Jに対し、地上から20ミリバルカン砲を載せた対空機関砲が模擬対空射撃を実施します。投弾のタイミングに合わせて、汎用爆弾やクラスター爆弾(機関砲?)の爆発を再現する単発の爆発音や連続の爆発音が辺り一帯に響きます。
 でもF-15Eストライク・イーグルでもない「制空戦闘機」が対地射爆撃をするというシーンにちょっと空しさを感じます。以前はこの手のデモはファントムがやっていたんですけどね...

 午前中のデモフライトが終わったところでエネルギー補給です。エプロンのさらに先の緑地帯に固まって出店している食べ物系売店で冷やしうどんを買います。その場で簡単な調理をして売っている食べ物はそこそこ売れているようですが、寿司折りやお弁当系はだいぶ売れ残っているようでした。何と言っても当日は”日焼けするくらい”暑かったのでかき氷の売店に長蛇の列ができていました。

 ここで昨日から徹夜でここに来たHさんが眠気と疲労と暑さでバテバテなのでエプロンに座り込んで休憩です。

 

Action−3 白い雲、白いスモーク

 さて、だいぶ雲行きが怪しくなってきましたが午後1時半からブルー・インパルスのデモフライトの始まりです。といっても今回は機体のそばに張り付いていないので、テイクオフまでは結構暇です。で、デモフライトが始まったのですが、3課目めあたりから記憶にある第1区分と一致しません。しかし垂直系の課目もあったので第2区分だったのでしょうか。とある筋からは第2区分でもなかったという情報もあるのですが?
 後日発行された航空雑誌などでも「変則第1区分説」と「第2区分説」が入り乱れています。
 とは言っても、久しぶりに見る
ブルーのフライトであります。T−4ブルーを見るのは初めてというHさんは大喜びであります(現役の頃はT−2でしたから)。
 しかし、やはり惜しむらくはスモークが白一色だったことでしょう。今日のように雲量が多いとスモークがかすれ始めるとすぐに見えなくなってしまいます。
 染料がうまく気化しないという理由で今シーズンは白(というかスピンドルオイルだけ)にしているとのことですが、T−2ブルーではそういったトラブルを聞いたことが無かったと思いますが。

 ということでブルーについては、「晴れの特異日」11月3日の入間航空祭に望みをつなぎます。

 

Action−4 みんな走れ!

 ブルーのデモフライトが終わったところで、ル・マン式スタートのごとく、バイクに向かいます(ホントはちんたら歩いていた)
 しかし既に駐車場は出待ちの状態。ようやく一般道に出たと思えば道を間違ったり...しかも2回も
とにかく裏道、裏道と走ったので、一度は完全に
機位をロストしてしまう始末。
 岩間IC方向に走ったはずなのに、結局千代田石岡ICから常磐道に入るはめに。多少の渋滞を我慢しても素直に335号線経由で帰った方が早かったのかも知れません。

 

 ちょっとばかり天候が良くなかったものの、2年ぶりの航空祭。大満足の一日でありました。


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