Hangar No.11



F-5G(F-20)  TIGERSHAKE
【アスラン王国空軍 エリア88 風間真大尉機】
(ハセガワ 1/72)

Roll Out  2005/6/19

▼実機について
 F-5Eの発達型として、1978年にF404ターボファンエンジン1基、AIM-7の運用可能な高性能レーダー火器管制装置を搭載したF-5Gが計画され、1980年のIIF(中間国際戦闘機)計画にゼネラルダイナミクスF-16/79と共に名乗りを挙げる。
 1982年8月1日に1号機がロールアウト、タイガーシャークと命名されたが、レーダー未搭載、キャノピーはF-5Eからの流用であった(レーダーや新キャノピーが付けられたのは2号機から)。
 同年11月に米空軍により、制式名称F-20が付与されたものの、空軍が制式採用した訳ではなく、海外セールス上の戦略からノースロップ社の要望で制式名称が付与されたもの。
 レーガン政権によりIIF計画がキャンセルされ、最大の売り込み先であった台湾への売却が不可能となってしまったため、米空軍、州空軍の防空戦闘機(当時スクランブル発進に要する時間が最短)、NATO各国等に売り込みを図ったが、1981年10月に1号機が、1985年5月に2号機が墜落、セールスも州空軍、NATO各国等でF-16が採用(※)されたことから、1986年11月に計画中止が決定された。なお、1、2号機の墜落を受け、4号機の生産も開始されたものの、計画中止を受けスクラップ処分されている。
 ※バーレーン空軍からF-5Eの代替機としてのオファーがあったものの、僅か4機であったことから生産ラインを稼働させることができずノースロップ社で断っている。

 なお、中東某国にF-20が供与されたとの
があるが、真偽のほどは定かではない。

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▼製作ログ
 元キットはタカラの1/100F-5Gに次ぐF-20としては世界初のキット(3番目はモノグラムの1/48)で、ハセガワのエリア88シリーズとして デカール換えで発売されたもの。
 発売と同時に買って今までストックされていたものであり、テレ朝深夜枠とCSアニマックスで再アニメ化記念で製作を開始したもの。完成時点ではアニメはとうの昔に終了(笑)
 20数年前に元キットが出た時は、当時国産か共同開発かで話題になっていたFS-X(現在のF-2)が、「もしF-20だったら」という妄想仮定でF-1支援戦闘機風迷彩にして日の丸を付けて完成させている。

 全体的な嵌め合わせは悪くなく、ほとんどパテ要らずで製作。ただし胴体左右を貼り合わせると、胴体下面中央の接着面が僅かに落ち込む感じになるので出来ればこの部分はプラ棒などで補強・支柱を入れた方が綺麗に仕上がるものと思われる。
 またF-5シリーズの特徴で、胴体と主翼の結合は摺り合わせさえ十分にしておけば(あるいはピタパチキットなら)単に接着するだけでいいので、パーツ状態で最終塗装まで可能。
 強いて難点を挙げると、@水平尾翼付け根のRHAWS(レーダー警戒装置)が何故か水平尾翼と一体で成型されている、A機首機関砲の砲身がパネルと一体モールドされている、B射出座席後部のアクチュエーターがキャノピー開状態でしか取り付けられないことである。
 なお、エアインテークベーンがインテークダクトパーツと一体となっているが、当時はこちらの方がスタンダードなので、ベーンを切り離して後付にする作業はお約束。
 @については、水平尾翼からRHAWSを切り離して胴体に接着、整形したものの、水平尾翼を上げor下げ状態にさせない限りほとんど目立たないので費用(時間)対効果としてはあまり効果がなかった。
 Aがこのキット最大の欠点で、機関砲部分のパネルを別パーツ化しているにも関わらず、砲身を一体整形してしまっている。現在イタレリブランドで販売されている旧エッシーF-5AやイタレリのF-5Eではきちんと砲身が別パーツで用意され、発射口(溝)が開いているのと比べると、「飛行機のハセガワ」としてはらしからぬ箇所といえる。
 ということで、この部分は機関砲のモールドを削り、真鍮パイプを仕込んで発射口を作り、真鍮パイプの砲身を仕込んである。
 Bは、キャノピーを開けた状態でのアクチュエーターが妙にゴツく再現されており、このアクチュエーターを取り付けてキャノピーを閉じようとすると当然ながら閉まらない(組み立て説明図ではこの点について全く触れられていない)。
 他のモデラーの作例を見ると、キャノピーを閉じた状態ではやはりこのパーツを取り付けていないようであるが、これを取り付けないと射出座席後部がスカスカになること、キャノピーの開閉にかかわらずアクチュエーター自体は存在することからキャノピーが閉まるようにパーツを現物合わせで切断、調整して取り付けた。
 その他は機首左右にモールドされている実機には無いRHAWSのアンテナを削除し(F-5E改修機と勘違いか?)、台形のムクでモールドされているHUDを削り取り、エデュアルドのエッチングパーツに付け替えたが、エッチングパーツのままだと風防と干渉して風防が浮いてしまったので、エッチングパーツを削って高さを調整したため、仕上がりが汚くなってしまった(反省)。あと追加工作をするのであれば、機首にピトー管を付けるくらいだが私はオミットしている。
 なお、現実世界のタイガーシャーク1号機を作る場合には、キャノピーをF-5Eから流用してくる必要がある(デカールにあるシリアルナンバーを読むとこのキットは1号機ということになっている)。

 塗装は当然の事ながらエリア88風間真大尉仕様。
 今回は胴体のブルー部分は、デカールを使う場合でもきっちりラインのマスキングが必要なことと塗装とデカールの色合わせが面倒だったので、全てマスキングして塗装。
 ラインの太さや間隔は綺麗に出来たものと思うもののラインが若干ヨタっているので、次回F-5EタイガーIIを作る時の課題(何時作るんだ?)。なおブルーは指定のブルーエンジェルスカラーではなく、多少濃いサンダーバーズカラーを使用。決してブルーエンジェルスカラー(Mr.カラー328)が無かったからでは無い(笑)
 機体全体はグロス塗装としたが、実機でアンチグレア塗装されている部分にフラットクリアを吹いて防眩対策とした。艶の関係で別色に見えるが単に艶の有無の違いだけ(Fig1)。
 ウェザリングは、マウンテン・ベースから作戦に従事していた時期なので砂漠で露天駐機されているより汚れや傷みが少ないだろうという理屈で動翼部分、脚扉部分、ルーバー部分に軽くスミ入れしただけ。
 ちょっとだけウンチク入れたのは、機関砲周りの汚れで、機関砲作動時に砲口直前の四角形のパネル(発射ガス・ディフレクター、Fig1の黄色い枠部分)が飛行方向と平行に立ち上がって、発射ガスの左右への拡散(インテークへの吸い込み)を防止するようになっているそうなので、この四角形のパネルには硝煙が付かず、パネルラインで直線的に汚れが切れるようマスキングして煤汚れを再現。もっともあまり目立たないが(ちなみに原作でも、アニメでもこのシステムは再現されていないハズ)。

Fig1

 ユニコーンのデカールは予想通り下地が透けたものの、これは諦めてそのまま使用、機首の「Tigershake」は登場当初は原作でもF-5Gと言っていたことから「F-20」の部分を削除。
 今回は垂直尾翼下部に「RAAF F-048E」※のアスラン空軍シリアルナンバーを追加(ページトップの垂直尾翼参照)。
 原作ではミッキーのトムキャット、サキのクフィルにはシリアルナンバーが書き込まれているコマがあるが、何故かタイガーシャークには書き込まれていない (と思う)。
 しかしタカラの1/100シリーズでは、製品化されたA88所属全機にシリアルナンバーの設定がされており、 未だにこのデカールが手元に残っていたので最初はそのまま貼ろうとしたものの、経年劣化で使い物にならなかったので、「こんな事もあろうかと思って」用意しておいたアルプス・MDプリンターで自作。
 ※RAAFはアスラン王国空軍(Royal Aslan Air Force)、Fは戦闘機、048はおそらく機体番号、Eは外人部隊(エトランジェ)を表す。
 確か当時発刊されていた「デュアルマガジン」(タカラ系の模型雑誌でダグラムがメイン)に詳しい設定が載っていたような…

 兵装は、キット指定のサイドワインダー+ドロップタンクの制空仕様では寂しく、またパターン過ぎるので、反政府軍の(偽)地対空ミサイル基地爆撃時(「空中の罠」、スコラ漫画文庫だと7巻の第1話)の内側パイロンにナパーム弾、外側パイロンにMk.81爆弾3発、センターにドロップタンクという珍しい爆装仕様を選択。ナパーム弾はMr.メタルカラーのクロームシルバーでギンギンに塗装。
 各パイロンの兵装搭載容量からすると、原作(作例)とは逆に内側に爆弾、外側をナパーム弾にすれば、計算上はMk.81の倍の500ポンド爆弾のMk.82×3発が可能であるが、原作の搭載形態では外側には一番小型のMk.81しか積めない。
 もっともグランドクリアランスの関係から内側、外側パイロンともTERやMERを介しての爆弾類の搭載は不可となっており、爆弾類はパイロン直付けで各1発となる(複数の爆弾を吊架する場合は、センターパイロンにMERを介して取り付ける)。
 まぁ、マウンテン・ベースからの出撃なので、空母からの発艦同様、滑走途中で機首を引き起こさない(起こせない)のでグランドクリアランス問題はある程度無視できたということで・・・

 


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