Hangar No.17


F-21A LION
【U.S.NAVY VF-43】

(イタレリ 1/72)

Roll Out  2019/6/27

▼実機について(ざっくり)

 アドバーサリー飛行隊で使用する新たな仮想敵機F-16Nの調達が遅れたアメリカ海軍・海兵隊がつなぎの機体としてIAIクフィルC1を「F-21A LION」として3年間(1985年〜1988年)リースで採用した機体。
 一時的ではあるが米軍が外国機、それも戦闘機を制式採用するのは異例であり、かつ完全デルタ翼はB-58ハスラー爆撃機以来※1

 F-21Aは保管されていたクフィル(クフィルC)にクフィルC2同様の機首ストレーキ、カナード(ただし小型)を追加したもので、後追い的に「C1」と呼ばれた。

 海軍・海兵隊の直接運用は1988年に終了、その後民間軍事会社ATAC(Airborne Tactical Advantage Company)がF-21Aを導入し、米海軍等に対する仮想敵業務を実施中。
 空自も飛行教導隊のF-15だけでなく、一部ATACに委託すれば訓練効率も上がるのでは無いかと何となく思ったりしますが・・・
 F-21Aが空自基地(特に百里基地)に飛来しようものなら日本中の「エリア88」ヲタ(ほとんどオッサン)が集結するのは間違いない。

 「エリア88」と言えば、ATACではF-21Aの他にホーカー・ハンターF.58(英)、L-39アルバトロス(チェコ)、ミラージュF1(仏)、過去にはサーブJ-35ドラケン(瑞)、A-4Mスカイホーク(米)を運用しているリアル「エリア88」(笑)

 なお、最近ロッキード・マーチン社がインド向けF-16V(相当)に「F-21」の名称※2を付けて売り込もうとしているからややこしい。
 敵対するパキスタンがF-16を導入しているので、同じ名前で売り込めないと無理矢理名前を変えたとの噂も。
 「F-22」「F-35」とFナンバーが進んでいるのに今更何故「F-21」なのか?だったら「F-19」でもいいじゃないかと小一時間...

 ※1 デルタ翼機(と言うより全翼機だが)B-2爆撃機1号機のロールアウトは1988年11月。
 ※2 そう言えば昔ノースロップ社が次世代F-5に米軍の制式採用のあてが無いのに勝手に「F-5G」(後にF-20)の名前を付けてリアルに中東にも売り込んでいたなぁ...
(参考 Wikipedia等)

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▼製作ログ

 「麻里子様」こと「MARIKO JET」がデカール貼りで挫折中のため代打で製作開始。

 30年ほど前に全く同じキットを一度作っているので2回目です。
 キットの出来はイタレリ・スタンダードの浅めでもっさりした凹モールドで、合いも所々良くないところがあるものの、手っ取り早くF-21あるいはクフィルを作るには悪くないキットです。
 今はアバンギャルドモデルの良製品のクフィルがありますが、1/72でF-21Aが作れるのは今のところこのイタレリとハセガワのコンボセット(入手困難)だけです。

 可能な限り摺り合わせはしましたが、主翼上面と胴体の間、エアインテークと胴体下面、胴体後部下面と主翼下面、主翼上面パーツと下面パーツに相当の隙間ができます。
 パテや瞬間接着剤などで隙間を埋めて整形すると元々浅い凹モールドは消えてしまうのでちまちま彫り直し。
 スジ彫りのガイドにタミヤの「曲線用マスキングテープ」が大活躍。「スジボリ用ガイドテープ」は曲面に馴染みにくいので使い勝手が今イチ(個人の感想です)。
 最初は接合面だけスジ彫りを入れ直すつもりでしたが、なんだかんだで全体の7割以上彫り直しました。

 それとこのキットは機関砲のモールドがおかしいのですが、ひっくり返さない限り見えないので修正していません。

 コクピットは正面計器盤に寂しいモールドが入っているだけでサイドコンソールは何もありませんが、そこまで手間を掛けたくなかったのでそのままにしています。
 ちなみに現在「レベル」ブランドで発売されているクフィルには計器板のデカールが入っています。
 射出座席はエッチングのフェイスカーテンハンドルと和巧のファイバー紙製シートベルトを追加。

 塗装は当然アドバーサリー飛行隊塗装ですが、ハセガワのF-21A、フジミのF/A-18の塗装指示を参考に調色して塗装したのですが緑色が強めになってしまい今イチ。
 ドロップタンクはイタレリもハセガワも塗装指示が無く、ネットで検索してもはっきりなかったので適当に上下で塗り分けています。
 とは言え、久々の迷彩塗装は思ったより上手くできました。

 デカールはそのままでも大丈夫そうでしたが、念のためマイクロシステムのデカールフィルムを塗布して貼り付け。
 糊が弱いのでマークセッター必須です。
 実際は思ったほど劣化していないくて、主翼上面の赤いラインのデカールも一部切れただけでした。
 デカールが硬めなのでデカール軟化剤を使っても曲面、段差になじみにくかったのと、主翼正面のエアブレーキのモールドとデカールがずれたり、小さい注意書きのデカールを一部紛失したりと小さいポカはいくつかあります。
 またデカールは若干オーバースケール気味で、特にエアインテーク上面の逆三角形のコーションマークは3割増しくらいの大きさ。
 それからインレット、アウトレット前に書かれているコーションデータが足りません。

 ブログでは触れていませんが、前作の「ユーロファイター・タイフーン(F-3DJ)」同様キャノピーと胴体の合いが今イチで塗装後に修正、再塗装しています。
 タイフーンの教訓を全く生かしていません。
 それ以外にもマスキング(ゾル)でいろいろ苦労しました。
 キャノピーは鬼門です。

 装備はドロップタンク、ACMI(空戦機動計測ポッド)、訓練弾塗装のAIM-9を1本ずつ。
 キットにはACMIが2本入っていて左右に搭載するよう指示されていますが、自機の機動を計測・送信するACMIは1本だけで、反対側は何も搭載しないかAAMのイナート弾を搭載していたはずです。
 ACMIも最近はグレー塗装になっていますが、F-21運用当時は赤か青の塗装だったので、目立つ赤で塗装しました。

 それにしても、前作タイフーンから7年半ぶりの新造機と言う体たらく、そしてイタレリの連チャン(笑)


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